活動報告

AIより「なんかいい」を目指して。学生たちと共有したITの体温

1. はじめに:キャンパスに舞い降りた「キノコの胞子」

2026年7月3日。瀬戸内の穏やかな海風が吹き抜ける高松大学のキャンパスは、夏の瑞々しい香りと少しばかりの湿り気に包まれていました。この日、任意団体「マッシュ&ルーム」として、学生たちにICTが持つ「体温」をお伝えしました。

なぜ、一介のエンジニアが業務の枠を飛び出し、大学という「学びの場」に胞子を撒き散らしに来るのか。そこには、私の提唱する「3つの輪」の戦略的なバランスがあります。

  • プライベート(個人の趣味) :一人の人間としての自分。

  • パブリック(仕事) :プロフェッショナルな自分。

  • ソーシャル(社会活動) :キノコ。

これら「自分」を構成する要素をマッシュアップさせ、仕事で培った技術を損得勘定のない社会活動へと循環させること。それが、変化の激しい時代を自分らしく生き抜くための鍵だと考えています。

講義開始直前。モニターの向こう側にいる27人の学生たちの視線を感じながら、私は心地よい緊張感と、これから巻き起こるであろう「キノコパニック」へのワクワクを静かに噛み締めていました。

2. 活動の記録:ICTという名の「魔法の道具」で教室をマッシュアップ

私が今回用意したテーマは、「AIより、なんかいい ちょっといい」 。AIがどれほど進化しても、最後に人の心を動かすのは、技術そのものではなく、その先にある「温かさ」や「遊び心」ではないかという問いかけです。

ICTを単なる「効率化のツール」ではなく、参加者の心を弾ませる「魔法の道具」にするため、私は自作ツール「キノコマリアージュ」を投入しました。

  • スマホでQRコードを読み取るだけで、匿名で即座に参加可能。

  • 学生たちの投げた言葉が、リアルタイムで画面を埋め尽くし、共感を集めた文字は巨大化する。

  • ここぞという時に一度しか使えない「マジで?ボタン」や、問答無用で押させる「キノコボタン」といった、遊び心満載のギミック。

講義では、音読に合わせて絵が動くデジタル絵本「えぽん」や、地域を舞台にしたデジタルスタンプラリーの事例も紹介しました。これらは、ITが冷たいコードの塊ではなく、親子の対話を彩ったり、街歩きを冒険に変えたりする「ワクワクのスパイス」であることを伝えるためのピースです。

技術のスペックを語るのではなく、技術を使って「誰がどう笑ったか」を語る。そうすることで、最初は戸惑いを見せていた学生たちの瞳に、少しずつ好奇心の灯が宿っていくのが分かりました。

3. 現場の共鳴:1390回のリアクションが生んだ「フラットな世界」

20分あまりのセッションで、27人の学生が投じたリアクションは実に1390回 。AIによる振り返り分析では「原始人の集落が電子ドラッグを叩き続けているようなトランス状態」と評されるほどの熱狂でした。

匿名という安心感が、教室に「フラットな対話」を連れてきました。 「エリンギくん(仮名)」は、「オンラインなのにみんなで参加している一体感がすごかった」と驚き、「しいたけさん(仮名)」は、「自分たちの声がリアルタイムに画面を埋め尽くすのが単純に楽しかった」と、参加型授業の新鮮さを綴ってくれました。

しかし、現場は決して楽な戦いではありませんでした。実は事前アンケートで、教室の多数派が「タケノコ派」であることが判明。キノコエンジニアとしては、まさに完全アウェイの中での胞子活動となったのです。

それでも、ワードクラウドに浮かび上がった「先生」への愛あるいじりを見ていると、学生と先生、そして講師である私との境界線が溶け、年齢や立場を超えた「キノコ的なフラットさ」が確かにそこにあることを実感しました。

4. 考察:自分という「タグ」を見つける旅

熱狂の一方で、私の心に深く突き刺さった事実があります。講義後のAIマリアージュ(AI分析)で、私のプレゼンは「73点/100」という何とも言えないスコアを付けられました。

AIからは「ミスチルの話題で媚びを売り、現実から逃げ切った罪」と厳しく断罪されました。他人の言葉を消費し、観客席で盛り上がる「消費者マインド」は旺盛でも、いざ「自分は何者か?」を問われると沈黙してしまう――現代の若者が抱える課題が浮き彫りになりました。

だからこそ、私は叫びたいのです。AIに答えを委ねる前に、自分独自の「タグ」を持ってほしい。

私が目指す「一億総キノコ」の社会とは、 「性別も年齢も肩書きも関係なく、みんながフラットで、やさしい存在。誰ひとり取り残されることなく、互いを尊重し、ゆるやかに共存できる世界」 のことです。

「ちょっとのIT」は、その自分らしさ(タグ)を世界に届けるための加速装置です。「好きだから」「楽しいから!」という純粋な内発的動機を、ITで形にしてみる。その小さな一歩が、消費する側から価値を生み出す側へと自分を変えてくれるのです。

5. おわりに:広がるキノコの輪、次なる一歩

今回の登壇は、高松大学にとっても、私たちマッシュ&ルームにとっても、未来に向けた大切な「種まき」になりました。ICTが、単なる知識の伝達手段を超えて、人と人、人と地域を結びつける強力な接着剤になり得ることを、学生たちの熱量が証明してくれました。

このような挑戦の機会をくださった先生、そしてキノコを温かく迎え入れてくださった大学関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

今日、教室に蒔いた「キノコの胞子」たちが、いつかどこかで、誰も見たことがないような面白いキノコとして生えてくる日を、私は楽しみに待っています。その時、世界は今よりもう少しだけ、ワクワクに満ちているはずです。

ITは魔法です。でも、その杖を振る勇気を持つのは、AIではなく、あなた自身なのです。

6. 一番伝えたかったこと

ちょっとのITとICTで、ちょっとの笑顔とワクワクをこれからもお届けします。

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