【心理学部】第14回「実学の帝塚山大学」実践学生発表祭で4年生が発表しましたのニュース :: 帝塚山大学 心理学部 心理学科 帝塚山大学 心理学部 心理学科の【心理学部】第14回「実学の帝塚山大学」実践学生発表祭で4年生が発表しましたのニュースのペ www.tezukayama-u.ac.jp
1. はじめに:なぜ今、大学が「キノコ」と手を取り合うのか
大学における学びとは、教室という「温室」の中だけで完結するものではありません。帝塚山大学が推進するプロジェクト型学習(PBL)は、さながら地下で縦横無尽にネットワークを広げるキノコの「菌糸」のようなものです。学生たちは地域社会という広大な土壌に深く菌糸を張り巡らせ、多種多様な資源を吸収しながら、やがて「実践知」という立派な子実体(キノコ)を地上に現します。
本プロジェクトは、帝塚山大学が掲げる「実学」の精神——すなわち、実社会で通用する「行動する力」「協働する力」「表現する力」——を、子供たちの遊び場を通じて育む挑戦です。ここで心理学部生たちが「キノコ」という一見風変わりなモチーフを戦略的に選択したことは、心理学的観点からも極めて合理的です。キノコというキャラクターは、子供たちの心理的障壁を鮮やかに取り除き、学習プログラム特有の「構え」を解除して、自然な集団交流へと誘い出す「胞子」の役割を果たしているのです。

次のセクションでは、このプロジェクトを動かす原動力となった、課題解決への熱き「菌糸の胎動」について詳しく見ていきましょう。
2. 土壌の準備:コロナ禍が残した課題と「キノコラリー」の誕生
本プロジェクトの出発点は、2020年以降のコロナ禍が残した「コミュニケーションの乾燥」という深刻な社会的課題にあります。集団生活や対面交流が制限された児童たちは、他者と関わる豊かな土壌を奪われてきました。この乾いた環境に再び交流の芽を吹かせることが、私たちの使命です。

当初、学生さんたちは「ボードゲーム」や「宝探し」といったアナログな手法を検討していました。しかし、ゼミの教員を通じて、IT企業に勤務しながら任意団体「マッシュ&ルーム」を主宰する「キノコ」と出会ったことで、プロジェクトは劇的な「共生進化」を遂げます。学生たちの「子供を笑顔にしたい」という情熱(菌糸)と、キノコのICT技術(栄養)が融合し、デジタル・スタンプラリーという革新的な形態へと昇華されたのです。
本プロジェクトの目的は、以下の3つの柱で整理されています。
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複数人でのコミュニケーション機会の創出: 共通の目標に向かって対話せざるを得ない環境の構築。
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協調性と自発的な課題解決能力の育成: 指示を待つのではなく、グループで主体的に試行錯誤する力の養成。
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達成感の共有による心理的成長: ミッションクリアの喜びを分かち合い、他者への信頼感を育む。

目的が明確になったところで、次は具体的な「菌糸の広げ方(実施内容)」について、そのユニークな仕組みを解説します。
3. 菌糸の広がり:デジタル×リアルの冒険「帝塚山クイズアドベンチャー」の仕組み
学童保育所という日常の場を、一瞬にして冒険のフィールドへと変貌させたのが、ICTを活用した「キノコラリー(正式名称:帝塚山クイズアドベンチャー)」です。これは、フィールド内に隠されたQRコードを読み取り、ミッションに挑む「リアル冒険×デジタルスタンプラリー」です。
このシステムの白眉は、子供たちの「自発的な協力」を誘発するゲームデザインにあります。特に「端末の希少性」が重要です。1グループ(5~8名)に1台の端末という制約(ボトルネック)があるため、子供たちは自然と画面を覗き込み、役割を相談せざるを得ません。高学年の児童が低学年の子のために端末を傾け、見えやすいように配慮する「向社会的行動」の菌糸がそこかしこで芽吹いていました。


以下に、プロジェクトの実施設計をまとめます。
実施場所・参加人数
奈良県内3か所の学童保育所(A:64名、B:26名、C:55名)
主なミッション
学校クイズ(例:「理科室の椅子に背もたれがない理由は?」)、写真撮影、協力お絵描き(お題:キノコ、寿司、唇など)
メダルシステム
金(1回で正解)、銅(不正解)、銀(「宿屋」経由で再挑戦し正解)
「宿屋」の仕掛け
研究者のうち1名だけが持つ「隠しQR」。移動して探し出す探索要素を付加
リソース・時間
14枚のQRコード、電子端末 / 計120分(説明20分、実施90分、まとめ10分)
この緻密な仕掛けが、子供たちの心理にどのような変化をもたらしたのか。いよいよ「収穫」のデータ分析へと進みます。
4. 収穫の時:データが示すコミュニケーションの「成長」
本プロジェクトの真価は、心理学的なパフォーマンスアセスメント評価(秋山ら, 2006を参考)によって科学的に裏付けられています。「話す」「聞く」「協力」「調整」「応答性」「頼む」の6項目について、活動の前半(5問)と後半(5問)での行動変容を分析しました。
分析の結果、全項目において前半よりも後半の評定平均値が上昇 するという、美しい右肩上がりのデータが得られました。
引用文献 秋山 美和・伊藤 由恵・小倉 明子・中西 良文・廣岡 秀一・廣岡 雅子・福田 真知・横矢 祥代(2006). 小学生のコミュニケーション能力に対するPerforman ce Assessment ―活動プログラム (Task) と評価基準 (Rubric) 作成の試み― 三重大学教育実践総合センター紀要, 2 6 , 25-33.
心理学的視点から特筆すべきは、「調整」や「頼む」といった高度な交渉スキルの向上です。先述した「1端末1グループ」という物理的制約が、意図的に「交渉が必要な状況」を作り出し、子供たちのコミュニケーション菌糸を太く、強く成長させたのです。最初はバラバラだった個体が、ミッションを通じて一つの「協調的な子実体」へと結実していくプロセスが、この数値に明確に現れています。
児童のアンケート結果も、この成功を裏付けています。
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満足度: 「楽しかった」と回答した児童が 60.2% と非常に高いエンゲージメントを記録。
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難易度: 「簡単だった(ちょうど良かった)」という回答が 38.1% を占め、フロー体験を生み出す適切なハードル設定がなされていました。

5. おわりに:あなたも一緒に「学びの菌糸」を広げませんか?
もちろん、本プロジェクトも無菌状態の成功ではありません。大人数チームでの「端末の取り合い」による意見衝突や、酷暑の中での実施、機器トラブルといった課題も浮き彫りになりました。しかし、これらの限界を「改善の栄養」として、チームの少人数化(4~5名推奨)やWi-Fi環境の整備といった具体的なテンプレートを提示できることこそが、実学の醍醐味です。
帝塚山大学と一緒に生み出したこの「キノコラリーを活用したプロジェクト型学習」は、低コストで高い学習効果を発揮する、あらゆる教育機関・自治体で再現可能な「学びの種菌」です。ちょっとしたICTと、キノコのような柔軟な遊び心があれば、社会に笑顔とワクワクを届けるネットワークはどこまでも広がります。
さあ、皆さんのキャンパスにも笑顔の胞子を飛ばしましょう!学びのネットワークを広げ、共に豊かな社会を育てていきましょう。


それでは、準備はいいですか?学びの菌糸を広げましょう!
創造せよ!頭にキノコが生えるまで



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