
1. はじめに:初夏の風とマリンバの音色にのせて
2026年5月31日。高島平駅の東口広場は、朝から特別な「魔法」がかかったような熱気に包まれていました。初夏の柔らかな風が吹き抜ける中、どこからか聞こえてくるのは「高島平ドレミ音楽教室」によるマリンバの軽やかな音色。木の温もりを感じるその響きと、キッチンカーから漂う香ばしい匂いが混ざり合い、街全体がひとつの大きな物語の舞台になったかのようでした。
2015年、わずか3店舗から産声を上げた「高島平マルシェ」。「この街をもっとおしゃれに、楽しく」という実行委員会の皆さんの温かな想いは、11年の歳月を経て、今や46店舗が集結する大きな菌糸のネットワークへと成長しました。
その賑わいの中に、今回私たちは「デジタル」という名の胞子をそっと飛ばしてみました。マッシュ&ルームがプロデュースした「キノコラリー」。それは、街の風景にICTを溶け込ませ、日常を冒険へと変える試みです。
単なるスタンプラリーではなく、なぜ今、この街にデジタルな仕掛けが必要だったのか。それは、ICTが人と人を繋ぎ、笑顔を増幅させる「魔法の杖」になれると信じているからです。
2. 冒険の地図:スマートフォンという名の「冒険の書」を手に
今回の「キノコラリー」は、参加者が物語の主人公になれるRPG(ロールプレイングゲーム)の世界観で設計しました。会場のあちこちに隠されたQRコードは、いわば「魔法の入り口」。お手持ちのスマートフォンを「冒険の書」に見立て、この入り口を読み解くことで、街全体が巨大なゲームフィールドに変わります。
冒険のプロセスは、ワクワクの連続です。 QRコードを読み取ると、画面には「フレイムウルフ」や「ユキノコング」といった個性豊かなモンスターたちが突如として出現!彼らとのバトルに勝利すると、今度は「高島平クイズ」という名の試練が待ち受けます。
「高島ライダーのモチーフになった人物(高島秋帆)は?」 「マルシェの来場者数は?」 「高島平に多いのは、ピラミッド?それとも団地?」

マップには、今回は誰も利用しませんでしたが「だぁまのシメ寺(転職所)」や「マイーダの酒場(名前変更)」といった、冒険の世界を彩るスポットも用意しました。こうした遊び心のある世界観が、参加者をただ歩かせるのではなく、「能動的な探検家」へと変えていくのです。
3. 現場からのレポート:135名の勇者たちが紡いだ情熱の物語
この日、高島平の街を駆け巡ったのは135名の「勇者」たち。彼らがスマホをかざし、クイズに挑んだ総活動数は、なんと1202回にも及びました。

現場では、微笑ましいドラマがいくつも生まれていました。 親子で参加してくれた「エリンギさん(仮名)」は、「5つのクイズを解くのは少し大変だったけど、その分、最後の正解画面が出た時の達成感がすごかった!」と、キラキラした笑顔で報告してくれました。抽選会場では「しいたけさん(仮名)」が、狙っていた非売品の「ライダー巾着」を当てて、ガッツポーズ!その横では、缶バッジや500円券を手にした勇者たちの歓声が上がります。
ここで面白いのは、「あえて手間をかけること」の価値です。 5つのスポットを巡り、モンスターを倒し、クイズに答える。この適度な「冒険の苦労」があるからこそ、ゴールした時の喜びが何倍にも膨らみます。また、このプロセスが自然な「入場制限」の役割を果たし、抽選本部の混雑を適度に分散させるという、ICTならではのスマートな運営も実現しました。
何より、スタッフが「クイズの正誤確認」という事務作業から解放されたことで、参加した子どもたちと「おめでとう!」「すごかったね!」といった、心を通わせるハイタッチや会話に専念できたこと。これこそが、私たちが目指す「血の通ったICT」の姿です。
4. キノコ・エンジニアの眼差し:データが教えてくれた「街への愛」
私たちエンジニアは、画面の裏側でリアルタイムに動くデータを「楽しさの羅針盤」として見守っていました。
今回、最もこだわったのは、現場の熱量に合わせた「リアルタイムの魔法(確率調整)」です。当初、抽選の当選倍率は1/3からスタートしましたが、5つの難関をクリアしてきた勇者たちの顔を見ているうちに、「もっと笑顔を届けたい!」という想いが溢れました。そこで、スマホから設定を1/2へ、そして最後には「全員必ず当たる」設定へと、データに基づいた「裏側の優しさ」を注入したのです。
また、分析データは意外な事実も教えてくれました。 スポット3の「団地クイズ」の正解率は、なんと驚異の100%!新しいテクノロジーであるICTが、地域に根付いた「当たり前の知識」を再確認し、肯定するツールになった瞬間でした。
データは決して冷たい数字ではありません。1.5%の人があえて「ただのおじさん」というキャラクターを選んで冒険に出たというユーモアさえも、私たちにとっては大切な「ワクワクの足跡」なのです。

5. 次なる菌糸を伸ばして:一億総キノコへの展望
今回の冒険を通じて確信したのは、「大人の一歩を子どもたちの百歩に」変える力が、ICTにはあるということです。私たちは、誰もがデジタルという魔法を使いこなし、笑顔で繋がれる社会を「一億総キノコ」計画と称して描き続けています。
今回の抽選ロジックの調整やクイズの難易度設定から得た気づきは、すべて次回のアップデートに活かされます。次回の高島平マルシェは11月の最終日曜日。秋の深まりとともに、さらに進化したデジタルの胞子をこの街に飛ばす予定です。
ICTは単なる道具に過ぎません。しかし、その道具に「ちょっとの遊び心」を込めることで、地域コミュニティはもっと温かく、もっと楽しく、継続的にアップデートしていけるはずです。
6. おわりに:感謝を込めて

高島平マルシェ実行委員会の皆様、そしてスマートフォンの画面越しに、あるいは広場の雑踏の中で笑顔を見せてくれたすべての勇者たちに、心からの感謝を捧げます。
夕暮れ時、片付けが進む広場で、満足げに帰路につく人々の後ろ姿を見送りました。デジタルな冒険の記憶は、目に見えない菌糸のように、皆さんの心の中に、そしてこの高島平の街に深く根付いたことでしょう。
ちょっとのITとICTでちょっとの笑顔とワクワクをこれからもお届けします。
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マッシュ&ルーム 創造せよ!頭にキノコが生えるまで マッシュ&ルーム(通称キノコ) 主に品川区を中⼼に活動する任意団体。仕事や会社の枠にとらわれず、⼦供たちの笑顔のため、お年 mashandroom.org