キノコラリー 活動報告

かわさきSDGsパートナーまつり2025:共創が育む「未来都市」の体験レポート!

2025年11月9日

1. はじめに:イベントの開催背景と戦略的意義

SDGs(持続可能な開発目標)をいかに地域社会の血肉とし、市民一人ひとりの具体的な行動へと変容させるか。この問いに対し、川崎市が提示した一つの解が、2025年11月9日に開催された「かわさきSDGsパートナーまつり2025」でした。

本イベントの戦略的意義は、SDGsという概念を「知識」として教えるのではなく、「体験」として共有する「共創の場」をデザインしたことにあります。会場となったNEC玉川事業場には、親子連れを中心に多くの市民が集まり、地域コミュニティが一体となって未来を語り合う物語の舞台となりました。

開催概要:

  • 開催日: 2025年11月9日(日)10:00〜16:00

  • 会場: NEC玉川事業場公開空地 & NEC玉川ルネッサンスシティホール

  • 主催: NECプロボノ倶楽部

  • 共催: 川崎市、川崎市SDGsプラットフォーム、NEC

  • 協賛: 川崎信用金庫

  • 協力: (公財)川崎市文化財団、(一社)Nボノ、NPO法人カワサキミュージックキャスト

本年度は「環境・防災・芸術」をメインテーマに据えました。気候変動や災害への備えといった「守り」の視点と、洗足学園音楽大学のアイドルグループ「MARUKADO」によるオリジナルソング『MUSUBU』の歌唱に象徴される「芸術」という「心の豊かさ」の視点。これら3つの軸が、40以上の出展ブースやステージを貫く骨太なストーリーを形成しました。この広大な会場を、一つの冒険の書へと変えたのが、デジタル技術を駆使した「キノコラリー」です。

2. 遊びと学びの融合:デジタルスタンプラリー「キノコラリー」の衝撃

広大な会場に点在する40以上のブースを、いかに能動的に回遊してもらうか。この難題に対し、「冒険学習型デジタルスタンプラリー:キノコラリー」は、極めて高いエンゲージメント効果を発揮しました。

このラリーの真髄は、SDGsの学びを「クエスト(任務)」へと昇華させた没入型体験デザインにあります。参加者がQRコードをスキャンすると、画面上には「フレイムウルフ」や「エンシェントナイトキング」といったモンスターが登場。バトルを経て発生する「SDGsクイズ」というミッションをクリアすることで、モンスターを討伐し、メダルを獲得できる仕組みです。

没入感を高めるためのゲーム要素も徹底されていました:

  • 多様なキャラクター設定: 王道の「勇者キノコ」だけでなく、親しみやすさを象徴する「ただのおじさん」や「キノコレンジャー」など全7種類から分身を選択。

  • 強力なアイテム収集: 宝箱から得られる「エギラゴン(火術)」や「マイナズン(雷術)」、そして「ノコのつるぎ」「ノコのよろい」といった装備品が、子供たちの収集欲と達成感を刺激しました。

この「ワクワクする冒険」という文脈があったからこそ、参加者は難しい専門用語の並ぶパネルにも熱心に目を通し、真剣にクイズに挑みました。その熱量は、次に示す驚異的なアクティビティ・データに現れています。

3. 数値で見る参加者の熱量:アクティビティ・データ分析

イベントの質を評価する際、来場者数以上に重要なのが「一人ひとりがどれだけ深く関与したか」というログデータです。分析の結果、参加者の極めて高いエンゲージメントが可視化されました。

主要パフォーマンス・データ

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キャラクター選択の多様性

興味深いのはキャラクターの分布です。「勇者キノコ(41.6%)」が最多である一方、「ただのおじさん」と「キノコレンジャー」がそれぞれ11.2%で同率となるなど、選択の多様性がコミュニティの親和性とユーモアを象徴しています。

スポット別エンゲージメントと教育効果

特筆すべきは、パートナー企業のブースにおける「金メダル獲得率」の高さです。

  • 「かわさきSDGsパートナー」スポット:98%

  • 「SDGs未来都市」スポット:94%

  • 「アイテム獲得スポット」:92%

この数値は、単にクイズが簡単だったことを意味しません。参加者がブースの展示内容や「ヒント」のリンク先をしっかりと読み込み、一発正解を目指して「真剣に学習した」結果です。戦略的視点で見れば、学習のハードルを下げつつ、満足度(達成感)を最大化させる「低障壁・高効率な教育サイクル」が確立されていたと言えます。

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4. パートナーシップの成果と未来へのフィードバック

本イベントは、NECプロボノ倶楽部を筆頭に、川崎市、川崎信用金庫(かわしん)など、セクターを超えた協力関係の結晶です。特に「芸術」のテーマにおいては、川崎信用金庫のオリジナルソング『MUSUBU』を通じて、洗足学園音楽大学と連携し、アイドル「MARUKADO」のパフォーマンスで会場を熱狂させました。これは、SDGsが「感性」を通じて伝播することを示した好例です。

一方で、運営側が真摯に向き合うべき改善点も浮き彫りになりました。

  • アクセシビリティの向上: 「高齢層には文字が小さくて読みづらい」「会場が広いため移動の配慮が必要」といった声は、真の「誰一人取り残さない」運営に向けた重要なヒントです。

  • ゲームバランスの精査: 「クイズ前のモンスター攻撃回数が多い」といったフィードバックに基づき、次回はよりスムーズな体験設計を目指します。

  • プロボノチームの成長欲求: 運営メンバーであるNECプロボノ倶楽部内からは、本イベントを通じて得た気づきを活かすため、「Canvaなどの広報・画像編集スキルの向上に向けた講座を受けたい」という、さらなる社会貢献に向けた前向きな意欲が示されました。

このように、主催者側も「共創」のプロセスを通じて成長していく点こそが、プロボノ活動が介在するイベントの醍醐味です。

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5. 結びに代えて:みんなで創る「SDGs未来都市」の展望

「かわさきSDGsパートナーまつり2025」が証明したのは、SDGsを「遊び・驚き・共感」というフィルターに通すことで、地域コミュニティに爆発的なエネルギーが生まれるという事実です。

「勇者のつるぎ」を手に笑顔でクイズに挑む子供たちの姿は、そのまま川崎市が目指す「SDGs未来都市」の縮図でした。従来の「学ぶだけ」のイベントから脱却し、エンターテインメントの力を借りて市民を「当事者」へと変えていくアプローチは、今後の地域活性化戦略のスタンダードとなるでしょう。

今回のレポートを通じて、読者の皆様にも「楽しさを起点にした社会貢献」のヒントを得ていただければ幸いです。川崎市というフィールドで芽生えたこの共創の種を、私たちはこれからも大切に育てていきます。みんなで創り上げる持続可能な物語に、終わりはありません。

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